2017年12月16日土曜日

交換してないんか・・・

 最近ちょくちょく来てくる様になったお客さんの平成16年のTV1のサンバーバン。
中古で買ったらしいが15万㎞程走ってる。
ある日路上でエンストして、そのままレッカーされてやって来た。
この年式だと運転席足元の1極の黒いコネクターの雄雌をつなげるとダイアグが見れる。つなげてみるとクランク(実際はカム)角センサーの異常と出た。
センサーはヘッドカバーに付いている。
念のため本当にセンサーが駄目なのか確かめてみようと、たまたま持ってたスズキ車から取った物をくっ付けてみた。
センサーは三菱電機製で、コネクターの形状が微妙に違うが、中身は同じで切り取ったハーネスを使って無理くり接続してみた。
セルを回してみるが、全くエンジンが掛かる気配がない・・・
なんだろか?・・・まさかと思ったが、センサーを外した穴からタイミングベルトを見ながらセルを回したら、ベルトが全然動いてないじゃんw

 15万㎞走っていたが、どうやらタイミングベルトを交換した事がなかったらしい。
所々コグが飛んでクランクが空回りしていた。
クランクが回ってるのにカム角の信号が入力しないから、ダイアグにセンサー異常が記録された様だ。何も考えずセンサーを発注しなくてよかったw
しかしこれじゃバルブ当たって駄目だろうなと思いつつ、タイミングベルトを交換してみたが、案の定4気筒とも圧縮がほとんどなかった・・・

どうしよか~?って、お客さんと 相談したら、新たに買う事考えると直した方が安上がりだって事になった。
とりあえずヘッドを引っぺがしてみる。
あまりオイル管理はよくなさそうだな・・・

リアエンジンのサンバーはスズキやダイハツと比べるとちょっと癖があるけれど、案外整備性はよさそうだ。

 ヘッド外れた。
ピストンには吸排気ともバルブが当たった跡がある。
 ヘッドカバーはえらい事になってるだな・・・
これの清掃が面倒だったw

 サンバーって2バルブなんだな。
なんとなくスーパーカブみたいだなw

バルブ全滅だわね・・・

 シートは何とか行けそうだ・・・

 4気筒とはいえ、2バルブだったからよかったw

 しかしなんとも汚いだな・・・
オイル交換は早めにやってよねw

折角だからオイルパンも剥ぐって、ピストンも外す事にした。

660㏄の3気筒を見慣れてると、やけに小っちゃく見えるピストンだ。


 コンロッドメタル駄目だな・・・ピストン外してみてよかったw
メタルは交換する事にした。
サイズはSTDの他に0.03、0.05、0.25㎜オーバーサイズがあるらしい。
ほとんどの場合STDサイズで間に合うそうだ。
そういやスズキのK6は一つのサイズしかなかったな・・・普通はそんなもんでいいって事かw


ピストンリングは思ったほど固着は酷くはないが、距離相応って感じだね・・・

 シリンダーの摩耗も思ったほど悪くはない。


 バラした部品はっ徹底的に洗浄する。

 ピストンもきれいになった。
リングは状態がよさそうなので、そのまま使う事にした。

 ブロックは車載状態なので、キャブクリーナーでカーボン溶かしパーツクリーナーで洗い流して、極力きれいに掃除しておいた。

ピストンくっ付いた。
今の感覚だと1000㏄程度までなら3気筒で十分ってなってるが、660㏄で4気筒なんて無駄にコストが掛かってるよな・・・
スバルが軽の生産やめちゃった理由も、そんなところにあるのかもしれない。

バルブは全て交換して、シートを摺り合わせて当りを確認する。
スズキのK6なんかは結構バルブガイドのガタが大きくなってたりシートも摩耗してたりするが、このエンジンはガイドのガタもないしシートもそれほど摩耗してない。
サンバーは丈夫でいいなんて話をよく聞くが、確かにそうなのかもしれない。
加工精度か材質かは分からないが、案外そんなところにもコストを掛けて作っていたのかもしれないな・・・


今どき2バルブのエンジンってのも、なんだか新鮮に見えるw
サンバーは意外と燃費がいいなんて話も聞くけど、2バルブのくせに何でなんだろか?







ロッカーアーム式だから、バルブクリアランスはネジで調整出来ていいね。
シム調整みたいに部品代掛からないし手間なくていいねw

組み上がった。
サンバーは案外整備性良くていいね。
S/C付いてるプレオなんかは、ベルトの交換えらく面倒だったりしたが、それから比べると大違いだなw

ちゃんと手を掛けてれば、あと倍近く走ると思う。どこまで使ってくれるか楽しみだ。

2 件のコメント:

  1. リアエンジン車とはいえ車載状態で整備できるのは良いですね。このコンデションでバルブガイドやカムホルダが無事というのも幸運です。2バルブでアジャストスクリューのタペット前時代的ながらも今の車に見習ってほしいところです。
    長く使える設計って儲からないからダメなのでしょうかね。サンバーは飛行機屋の意地が微かに見える名車なのだと思います。

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  2. スズキは「こんなんで大丈夫さ」って作りが多いけど、スバルは「こうでなくちゃいけない」みたいな作りが多い様に思います。
    技術屋としてはスバルは面白かったのでしょうが、いかんせんコストの掛かる作りが多く、商売としてはなかなか難しかった気がします。
    今スバルは少ない車種構成でうまく売っていますが、それを見ると軽をやめたのも正解だったのかもしれないですね。

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