2015年7月22日水曜日

念入りな作り?

 平成11年のBH5レガシィ。走行距離13万km。
別件で入庫したが、その時「Dレンジに入れても発進しない時があって、アクセル踏むと急に動き出す事がある」という。
確かにNからDに切り替えたときに、クリープが無い時がある。Dに切り替わってない様だ。
こっちの方が問題が大きそうだ。もしかしたらATが壊れかけてるのかもしれない。
たまにしか車検で入らないお客さんで、ここ二回ぐらいはうちで車検やったが、その前の整備履歴がわからない。ATFの交換した事があるのかどうか・・・

Dレンジに切り替わらない理由としては、1stのクラッチかワンウェイの不良か、油圧の低下が考えられる。
油圧の低下なら、中を掃除すれば直るかもしれない。
とりあえずオイルパンを剥いでみる事にした。
ATFはそれなりに汚れてはいるが、スラッジが堆積している感じはない。
金属粉は見られないから、機械的な部分はまだ大丈夫そうだ。
ストレーナーを外してみた。
外した途端に中からATFが流れ出てきた。
ストレーナーが大分詰まってたみたいだ。
目の細かい金網で出来ているが、表面は微妙に細かいゴミで詰まっている。
掃除して再使用って手もあるのかもしれないが、念のため新品に替えた。
この年式だとAT専用のオイルフルターも付いているので、これも交換しておいた。(ジャトコ製のATなんだろか?)
ATFは「スバルECVTフルード」ってのが指定になってる。
念のため純正のATFを4ℓ缶で2個注文してみたら、来たのは「ATF」ってやつで、中身は普通にデクスロンタイプと同じみたいだった。
ATFは二缶でぎりぎり間に合った。すぐに作業できず、しばらく放置してたので、ほとんど抜けきってしまった様だ。
修理後は正常にDレンジに切り替わる様になった。
バルブボディーの中が詰まっていなくてよかった。
しかしこれだけ目の細かいストレーナーがあって、さらにオイルフィルターまで付いてるってのも、やけに念入りな作りだな・・・


2015年7月16日木曜日

完璧でない

ある3t車のフロントハブ。
フロントにかぎらないが、この手の構造はほとんどの場合、内側のオイルシール側のグリスが汚れている。
おそらくシールから入った塵によってグリスが汚れるのだと思う。
トラックにかぎらず、この手の構造のハブは、クルマの大小に関わらずこの傾向がある。
オイルシールの類が完全に塵や水の侵入を防ぐものでないのだろう。

こういった物の中で、ショックアブソバーはもっとも厳しい使われ方なのかもしれない。
外部に露出したロッドが、シールを介してシリンダー内に出入りする。
ロッドの表面に付着した細かい汚れは、さすがにシールでは完全に落とすことはできない。
ダンパーオイルの劣化の最大の原因は、侵入した汚れによるものとだと思う。
これはバイクのフロントフォークをOHしていてよく思った。

昔の4駆や今でもジムニーに使われてるフロントハブの構造も、よくよく考えると凄い作りだ。
球面状のジョイントの周りに、大きなオイルシールを被せてハブのシールとしているが、あれも球面状のジョイントに付着した汚れは完全に落とされず、ハブの中に入ってしまう。
長い事OHしなかったりすると、中のグリスはドロドロになるし、酷いとキングピンのベアリングが錆びてガタが出てしまう事もある。

シールといえば、ブレーキのキャリパーなんかもダストシールって完全なものでない。
長年使ってると微妙に侵入した水や塵で、シリンダーは汚れてくる。
ゴムの張力で押さえてるだけなので仕方がない。
だからパッド交換の時はキャリパーもOHすべきだ。

完璧なものでないけど、コストとの兼ね合いでとりあえず使えてる物って意外と多い。
本質を見極めて適切なメンテナンスをしていけばいいのだと思う。
使いっぱなしでいい物なんてない・・・