2013年12月27日金曜日

何が原因?

 平成8年JA22Wのジムニー。走行距離は約12万km。
うちには初めて入ってきた車で、過去の整備履歴は詳しくは分らない。
知人から「ディーラーで車検をやった後からエンジンの力がなくなったのでみてほしい」との事で預かった。
アイドリングは普通に回転してるが、乗ってみると3千回転以下のトルクがえらく少ない。
圧縮を測ってみると、
1番 10.1kgf/cm^2
2番 9.9kgf/cm^2
3番 5.8kgf/cm^2  
(標準 12.0kgf/cm^2 限度 9.5kgf/cm^2)
と3番だけがやけに低い。
何年か前にラジエターに穴があいてオーバーヒートした事があるという。車に乗ってた作業伝票を見ると、2万5千kmほど前にラジエターの交換とヘッドのOHをやっている。その時にINとEXのバルブは全て交換してあるらしい。

分解する前にエンジン周りを水で洗ってたら、アイドリングが止まりそうになった。デスビがリークしてるみたいだ・・・
エンジン下ろしてやるべきか?と思ったが、エブリーと違ってフロント車軸があるので、ミッションごと下には落せない。
外すにはミッションを切り離して、上から引き上げないといけない。
ジムニーだと隙間が結構あって、ブロック残したままでもヘッドとオイルパンは外せそうなので、そのまま分解する事にした。

前回開けたときに、オイルパンに強力に液状パッキンを塗りたくって組んでいたため、オイルパンを引き剥がすのに苦労した・・・
接着剤でも使ったんだろか?w
パッと見は何でもなさそうだが・・・
3番シリンダーの排気バルブが1本欠けていた。これでは圧縮ないのもあたりまえだ。
通常NAだとここまで圧縮ないとアイドリングがばらついてまともに走れないが、加給されてると意外と普通にアイドリングしてるし、なんとなく走ってしまう。


 ピストンはそれ相応にカーボンが付着してるが、オイルリングは完全に固着するまでにはなっていない様だ。意外とオイル管理はよかったらしい。

一部当りが強い部分があるが、シリンダーもまだ大丈夫だろう。
ピストンリングはどうしようかと思ったが、念のため3セット全て交換する事にした。
前回のヘッドのOHでどの程度やったのかが分らないが、結構なカーボンが付着している。
欠けてたEXバルブはこんな状態だった。
金属疲労でこうなったのか?
このバルブ1本だけ交換すればいいかと思ったが、よくよく見ると3番シリンダーのもう片方のEXバルブもかなり焼けていて、2番シリンダーのEXバルブも2本とも焼け気味だった。辛うじて1番シリンダーのEXバルブ2本だけ使えそうだったが、念のため6本のEXバルブ全て交換する事にした。
カーボン除去の洗浄剤でカーボンを徹底的に落とした。この作業が一番面倒だ・・・
ポートにバリがあったので、ついでだからリューターでさらっておいた。
 ピストンもきれいになった。
オイルリングは固着してなくても、ピストン側のオイルの逃げ穴はほとんど詰まっていた。
この手のは理想的には働かないみたいだな・・・
欠けたバルブのシートが心配だったが、シートとフェースはすり合わせだけでなんとかなった。
若干当りは広いが、実用上は問題ないだろう。
光明丹を塗って当りを確認しとく。
3気筒だからいいけど、6発とかV8なんかはやりたくないなw
 ヘッドが組み上がる。
きれいになると気持ちがいいねw

バルブクリアランスの調整に冶具を持ってないから、測定とカムの分解組み立てをやらなきゃならないから面倒・・・


ピストン組んでカムチェーンを念のため交換して、ヘッドを組み付ける。

やっと出来上がってエンジンかけて様子を見てると、ラジエターのアッパーホースから水漏れしてるし、キャップも密着悪くなってて漏れてくる・・・orz
アッパーとロアホースとラジエターキャップを注文したら、また来週・・・偉く手間かかったな・・・

手間かけただけあって、エンジンは快調になったw
OH後の圧縮は各気筒11.3~11.5kgf/cm^2になった。

バルブ損傷の原因だが、色々考えてみるとこのデスビキャップが怪しい。(キャップとセンターコードは交換した。)
センターコードの端子が割れていて、酸化物が出来て堆積していた。
おそらくリークしていて失火には至らなかったのだろうが、高回転時に点火エネルギーが足りない事により短時間で燃えきらず、未燃焼ガスがEXバルブを焼いてしまったのだろう。
K6エンジンはプラグ消耗によるEXバルブの損傷がたまに見られる。

酸化物の堆積状態を見ると、大分前から割れていたと思われる。
本来ならば車検整備での点検項目の一つのはずなのだが・・・
最近の車はダイレクトイグニッションが多くなって、うっかりするとデスビキャップの点検は見落としがちであるが、基本的な事なので注意しないといけない。

自分の場合、整備する車はエンジンを掛けた状態で水で洗う事にしている。
こうする事で点火系の不具合を随分見つけている。
電子制御になってきたとき、エンジンに水掛けるななんて言われた事もあるが、そもそも水を掛けたぐらいで壊れる様なら問題だ。
埃だらけの状態で整備なんてしたくないしねw